SHE IS SUMMERのアーティストブック「HOW TO CATCH THE TIME」を読んだ。
この本にはMICOちゃんの「時間」の捉え方が詰まっていて、発想や表現の美しさにうっとりしてしまった。
この本のなかで、印象的な文章があった。
「夢が夢じゃなくなる前に」という文章だ。
私は本当につい最近まで
“誕生日に恋人と一緒にディズニーシーの園内ホテルに泊まりたい!”
なーんていう、柄にもない夢を持っていました(中略)
だけれど、海外旅行を好きになってから興味を持つことが変わり
いつからかそれがそんなに大それたことだとは思わなくなってしまいました
そう、私は叶える前に夢を追い越してしまったのです小さい頃からそんな風に、夢見てみては気づきもしないうちに消えてゆき
一体これまで、いくつの夢を失くしてきたのでしょうか?子どもの頃から大人と話すことが好きで
SHE IS SUMMER『HOW TO CATCH THE TIME』より引用
張り切って砂遊びなんかをしなかった私は
砂遊びに夢中になれることなんて一生ないんだろうな…と
この歳になって少し寂しく思うことがあります
ある年齢だけで感じ、願うことができる夢は
その歳、その瞬間でしか叶えることができない貴重なものなのです
この文章を読んで、わたしは妙に納得してしまった。
わたしもませた子どもだったから、この感覚はすごくよくわかる。
こういうことは、夢に限ったことではない気がする。
高校生の頃、先生に恋心を抱いていたことを思い出した。
今思えば、年上の男性が少しかっこよく見えていただけでちょっと恥ずかしい思い出でもある。
でも、大人になった今先生に恋するなんていうシチュエーションは二度と訪れない。
先生への恋心は、ただの年上を好きになるのとは違ったときめきがあるように思える。
そう考えたら、こんな感情を学生時代に味わえたのもいい思い出なのかもしれない。
これは極端な例だが、夢に限らずその時々にしか味わえない感情というものがある。
でも、ある時それを自分が飛び越えてしまって、同じような感情を味わうことは二度とできなくなってしまうらしい。
お父さんに肩車してもらったときの景色が、今では日常的な光景になってしまうように。
感情には、賞味期限があるようだ。
だから、その感情が輝いているうちに思いっきり味わおう。
夢中になれることは、今のうちに思う存分のめり込もう。
今好きな人のことは、思いっきり愛そう。
魅力的に見えるものがあったら、そう思えるうちに飛び込んでみよう。
苦しみや悲しみも、この際思いっきり噛みしめておこう。
そう考えたら、今という時間をもっと大切にできる気がする。
何かにチャレンジする勇気が湧いてきたりとか、熱量を持って物事に取り組むことができたりとか。
そうやって、自分というものはそのときあるべき姿に変わっていくのだろう。
その歳やその瞬間にしか感じられない感情を積み重ねていけば、自分自身の変化を楽しめる気もする。
年を取ることだって怖くないのかもしれない。
わたしは、こういう人生を豊かにする考え方を大切にしたい。
何気なく時を過ごすよりも、一秒一秒を嚙みしめて生きていきたいのだ。
わたしという人間は、今も刻一刻と変化している。
だから、感情の賞味期限が来る前に、その感情を一番美味しいところで味わおう。
今という時間が、もっと豊かに色づくように。
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